夜のお店にPOSを入れる時は、料金・バック・時給の決まりを聞き取る→商品と名簿を入れる→1日分の伝票で今の計算と比べる→締めの日を境に切り替える、の順に進めます。代理店や開業支援の人が最初に確かめるのは、お店の給与の決まりがそのまま入るかどうかです。
目次
夜のお店にPOSを入れる時に一番つまずくのは、機械の操作ではなく、お店の料金と給与の決まりを正しく入れることです。セット・延長・TAX、バックの額と率、時給の段が1つでも違うと、会計やキャストの給料が今までと合わなくなります。
この記事は、お店にPOSを勧める代理店・開業支援の人と、自分で乗り換えるオーナー・店長に向けて、導入の手順と確かめることをまとめます。どんなPOSを選ぶかはPOSレジの選び方で書いているので、ここでは「入れ方」を中心に書きます。
導入・乗り換えの流れ
- お店の料金・バック・時給の決まりを聞き取る
- 今使っている記録(紙・表計算・前のシステム)から、商品・名簿を集める
- POSに商品・バック・時給・名簿を入れる
- 過去の1日分の伝票を入れて、会計とバックが今までと同じになるか比べる
- 内勤とキャストに使い方を伝える
- 締めの日を決めて、その日から新しいPOSに切り替える
- 最初の給料日まで、計算が合っているかを一緒に確かめる
聞き取りで確かめる項目
聞き取りでは、お店の人が「当たり前」と思っている決まりほど漏れやすくなります。口で聞くだけでなく、今の伝票・給与明細・メニューを見せてもらって確かめます。
| 区分 | 確かめること |
|---|---|
| 料金 | セットの時間と料金、延長、TAX・サービス料の率と端数、指名料・同伴料 |
| バック | 品目ごとのバックの額か率、税込・税抜どちらにかけるか |
| 時給 | 基本の時給、ポイント制・スライド時給の段、時給保証の期間 |
| 給与 | 日払いの扱い、雑費、源泉徴収の計算期間、給料日 |
| 会計 | 支払方法(現金・カード・ツケ)、営業日の切り替え時刻 |
| 人 | 内勤の人数と月給か時給か、系列店や掛け持ちのキャストがいるか |
営業日の切り替え時刻(深夜何時までを前の日の売上にするか)は見落としやすい項目です。ここが違うと、日報と月の売上が今までと合いません。
今の記録を移す時に気をつけること
- キャストの名前は、源氏名と本名のどちらで入れるかを決めて揃える
- 系列店では、同じ人の名前の書き方を店ごとに揃える(掛け持ちの給与をまとめるため)
- 辞めた人は入れず、今いる人から入れる
- ボトルキープ・ツケの残りは、切り替えの日の時点の一覧を作ってから入れる
- 前のシステムの記録は、切り替えた後もしばらく見られるように残しておく
1日分の伝票で比べる
設定が終わったら、過去の1日分の伝票を新しいPOSに入れて、今までの計算と比べます。会計の額、キャストごとのバック、日報の売上が同じになれば、設定はほぼ合っています。
| 項目 | 今までの計算 | 新しいPOS | 合っているか |
|---|---|---|---|
| その日の売上 | 385,000円 | 385,000円 | 合っている |
| Aさんのバック | 12,400円 | 12,400円 | 合っている |
| Bさんのバック | 8,000円 | 8,800円 | 違う(TAXの扱い) |
合わない所があれば、たいていはバックを税込・税抜のどちらにかけるか、端数の扱い、指名の種類の分け方が原因です。合うまで設定を直してから切り替えます。
導入でよくあるトラブルと防ぎ方
| 起きること | 原因 | 防ぎ方 |
|---|---|---|
| 会計の額が今までと違う | TAXの端数の扱いや、TAXをかけない品目の設定漏れ | 今の伝票を何枚か入れて比べる |
| キャストのバックが少ない・多い | バックを税込・税抜のどちらにかけるかの違い | 聞き取りで今の明細を見せてもらう |
| 前の日の売上が今日に入る | 営業日の切り替え時刻が違う | 閉店の時刻を聞いて合わせる |
| 掛け持ちのキャストの給与が2人分に分かれる | 店ごとに名前の書き方が違う | 名簿の名前を店どうしで揃える |
| 内勤が使い方を覚えず、紙に戻る | 説明が1回だけ、聞く所が無い | 最初の1週間は締めに立ち会う、使い方のページを伝える |
切り替えの日の決め方
切り替えは、給与の計算期間の初日に合わせるのが安全です。月の途中で切り替えると、その月の給与を前の記録と新しい記録の両方から集めることになります。
- 月給・月払いのお店:月の初日から切り替える
- 半月ごとに払うお店:計算期間の初日から切り替える
- 開業するお店:営業初日から使う(練習は開業前の研修で)
切り替えの日の流れ
- 前の日の締めまでは今までのやり方で終え、その日の売上・ツケ・ボトルキープの残りを控える
- 切り替えの日の開店前に、端末にログインして伝票の画面が出るか確かめる
- レシートプリンターを使うなら、試しに1枚出す
- 営業中は内勤のそばにいて、迷った操作をその場で一緒に解決する
- 閉店後に新しいPOSでレジを締め、あるはずの現金と数えた額を比べる
- その日の日報とキャストごとのバックを確かめ、気になった所を書き出す
系列店・複数店舗のお店に入れる時
系列店があるお店では、店ごとの設定に加えて、店どうしで揃える物を決めます。キャストが店を掛け持ちしているなら、名簿の名前を揃えないと給与や源泉徴収をまとめて計算できません。
- 店ごとに料金やバックが違うか、同じにするか
- 掛け持ちのキャスト・内勤の名前を店どうしで揃える
- 給与を払う法人が店ごとに違うか(同じ法人の店だけ源泉をまとめて計算する)
- オーナーが全店の売上をまとめて見たいか
系列店では、まず1店で切り替えて最初の給料日まで確かめてから、残りの店に広げると安全です。1店で見つかった設定の漏れを、残りの店では最初から直して入れられます。
代理店・開業支援の人が見るべき所
代理店や開業支援の人がお店にシステムを勧める時は、入れた後に「給料が合わない」と言われないことが一番の信頼になります。勧める前に、次の点を確かめておきます。
- お店の給与の決まり(ポイント制・保証・日払い)がそのまま入るか
- お店の手持ちの端末で動くか、追加で買う物は何か
- 初期設定を誰がやるか(お店か、代理店か、システムの会社か)
- 困った時の問い合わせ先と、使い方の説明がどこにあるか
- やめる時に記録を持ち出せるか、データの守りはどうなっているか
開業支援の人がこれから開くお店に勧める時は、乗り換えと違って比べる「今までの計算」がありません。その代わり、開業前に料金と給与の決まりを一緒に作り、それをそのまま入れて、架空の伝票で会計とバックを試しておきます。決まりを作る手順は開業の流れにまとめています。
導入で大事なのは、最初の給料日を問題なく越えることです。切り替えの後の最初の給料日まで、内勤と一緒に計算を確かめる日を決めておくと、お店の不安が大きく減ります。
代理店にとっても、入れた後の最初の1か月がいちばん問い合わせの多い時期です。締めの数字が合っているか、給料日に問い合わせが来なかったかを、お店と一緒に振り返る日を決めておくと、次のお店への紹介にもつながります。
内勤・キャストへの伝え方
内勤には伝票の入れ方・会計・締めを、キャストには自分の成績と給与明細の見方を伝えます。キャストにとっての変化は「給与明細の見え方」なので、最初の給料日の前に一度見せておくと問い合わせが減ります。内勤の仕事内容もあわせてご覧ください。
よくある質問
POSの乗り換えはいつするのがいいですか?
給与の計算期間の初日に合わせるのが安全です。月の途中で切り替えると、その月の給与を2つの記録から集めることになります。
新しいPOSの設定が合っているかはどう確かめますか?
過去の1日分の伝票を入れて、会計の額・キャストごとのバック・日報の売上が今までの計算と同じになるか比べます。
代理店がお店にPOSを勧める時、何を確かめればいいですか?
お店の給与の決まりがそのまま入るか、手持ちの端末で動くか、初期設定を誰がやるか、やめる時に記録を持ち出せるかを確かめます。
乗り換えで合わなくなりやすいのはどこですか?
バックを税込・税抜のどちらにかけるか、端数の扱い、営業日の切り替え時刻が多くあります。