接待をするお店は風営法の1号許可(風俗営業許可)、接待をせずに深夜0時から6時にお酒を出すお店は深夜酒類提供飲食店営業の届出が必要です。1号許可の店は原則として深夜0時以降に営業できず、深夜酒類の届出の店は接待ができません。どちらの場合も保健所の飲食店営業許可は別に必要です。
目次
夜のお店を開く時に最初に決めるのは、「接待をするか、しないか」です。接待をするなら風営法の1号許可、接待をせずに深夜0時以降もお酒を出すなら深夜酒類提供飲食店営業の届出になります。
この2つは同じお店で両方を使い分けることができません。どちらを取るかで、営業できる時間、店の作り、キャストの働き方、給料の決め方まで変わります。この記事では、2つの違い、お店の種類ごとの目安、開業までの流れと、開業前に決めておくお金の決まりをまとめます(2026年11月時点)。
1号許可と深夜酒類の届出は何が違いますか?
一番の違いは、1号許可は接待ができて深夜は営業できず、深夜酒類の届出は深夜に営業できて接待ができないことです。風営法では、深夜は午前0時から午前6時までをいいます。
| 風営法の1号許可 | 深夜酒類提供飲食店営業の届出 | |
|---|---|---|
| 接待 | できる | できない |
| 深夜(0時〜6時)の営業 | 原則できない(条例で決めた地域は延長あり) | できる |
| 手続き | 公安委員会の許可(警察署が窓口) | 営業を始める日の10日前までに届出(警察署が窓口) |
| 店の作り | 客室の広さ・明るさ・見通しなどの基準がある | 客室の広さ・明るさ・見通しなどの基準がある |
| 18歳未満 | 客として入れない・接待させない・22時以降は客に接する仕事をさせない | 22時以降は客に接する仕事をさせない など |
| 管理者 | 営業所ごとに1人選ぶ | 選ぶ決まりはない |
どちらの場合も、お酒や料理を出すための飲食店営業許可(保健所)は別に必要です。風営法の手続きだけでは営業できません。
「接待」とは何をすることですか?
風営法では、接待を「歓楽的雰囲気を醸し出す方法により客をもてなすこと」と決めています。特定のお客様の隣や前に座って続けて話し相手になる、お酌を続ける、一緒に歌うといったもてなしが、接待にあたるとされることが多くあります。
反対に、カウンター越しに注文を受けてお酒を作る、料理を運ぶ、短いあいさつをする、といった飲食店として普通の接客は、接待にあたらないとされています。どこからが接待になるかは、席の形や話す時間などで判断されるので、迷う時は届出の前に管轄の警察署に確かめます。
お店の種類ごとに、どちらが必要ですか?
目安として、キャバクラ・クラブ・ラウンジのように席に付いて話すお店は1号許可、カウンター越しで接待をしないガールズバーは深夜酒類の届出です。コンカフェは営業の形によって変わります。
| お店の種類 | よくある形 | 必要になりやすいもの |
|---|---|---|
| キャバクラ・クラブ | キャストが席に付いて話す | 1号許可 |
| ラウンジ | キャストが席に付いて話す | 1号許可 |
| ガールズバー | カウンター越しに話す、深夜も営業 | 深夜酒類の届出 |
| コンカフェ | カウンター越しの接客・チェキなど | 深夜もお酒を出すなら深夜酒類の届出。席に付いて話すなら1号許可 |
ガールズバーやコンカフェでも、キャストが客席の隣に座って続けて話すと、接待にあたるとされることがあります。深夜酒類の届出だけで接待をすると、無許可営業として罰せられることがあります。
1号許可を取るにはどんな条件がありますか?
1号許可には、人の条件・場所の条件・店の作りの条件があり、すべてを満たす必要があります。条件を満たさない物件を借りてしまうと許可が出ないので、物件を決める前に確かめます。
- 人の条件:申請する人や役員が、法律で決められた欠格の理由(一定の刑を受けて間もない など)にあたらないこと
- 場所の条件:住宅の多い地域や、学校・病院などの近くは、都道府県の条例で営業できない場所がある
- 店の作り:客室の広さ(客室が2室以上なら、和室以外は1室16.5平方メートル以上が目安)、明るさ(5ルクスを下回らない)、客室の見通しを妨げる物を置かない など
- 管理者:営業所ごとに、業務をまとめる管理者を1人選ぶ
1号許可の店は、午前0時から午前6時まで営業できません。都道府県の条例で決めた繁華街などでは、午前1時まで営業できる場合があります。
深夜酒類の届出にはどんな条件がありますか?
深夜酒類の届出は許可ではありませんが、店の作りの基準と、営業できない地域の決まりがあります。届出は、営業を始める日の10日前までに、店の場所を管轄する警察署を通して公安委員会に出します。
- 客室の広さ:客室が2室以上なら、1室9.5平方メートル以上
- 明るさ:店の中が20ルクス以下にならない作り
- 見通し:客室の中に見通しを妨げる設備を置かない。客室の出入口に鍵を付けない(外に直接出る出入口を除く)
- 地域:都道府県の条例で、住宅の多い地域などは深夜の酒類提供の営業が禁止されている
- 主に食事を出すお店(主食と認められる食事を常に出すお店)は、この届出がいらない
届出には、届出書のほか、営業の方法を書いた書類、店の平面図、住民票(本籍入り)の写しなどを付けます。様式や添付書類は都道府県で少しずつ違うので、管轄の警察署の生活安全課で確かめます。
物件を借りる前に確かめることは?
開業の失敗で取り返しがつかないのは、営業できない場所の物件を借りてしまうことです。契約の前に、次のことを管轄の警察署や行政書士に確かめます。
- その場所の用途地域で、1号許可または深夜の酒類提供の営業ができるか
- 近くに学校・図書館・病院・児童福祉施設など、条例で距離の決まりがある施設がないか(1号許可)
- 前の店の作りのままで、客室の広さ・明るさ・見通しの基準に合うか
- 建物の持ち主が、その営業に使うことを認めているか
キャストを雇う時に守ることは?
1号許可の店と深夜酒類の店は、店ごとに従業者名簿を備え、客に接する仕事をする人の生年月日と国籍を書類で確かめて記録する決まりがあります。日本国籍でない人は、在留資格や在留期間なども確かめます。
- 18歳未満の人に接待をさせない(1号許可)
- 午後10時から翌朝6時まで、18歳未満の人に客に接する仕事をさせない
- 20歳未満の人にお酒を出さない
- 従業者名簿には、氏名・住所・性別・生年月日・採用した日・辞めた日・仕事の内容などを書く
体入(体験入店)の子も、客に接するなら同じ確認がいります。体入の受け入れについては体入から採用までをご覧ください。
開業までの流れは?
- 接待をするか、深夜に営業するかを決める
- 物件を決める前に、その場所で営業できるか(用途地域・近くの学校や病院)を確かめる
- 店の作り(客室の広さ・明るさ・見通し)が基準に合うよう設計する
- 保健所で飲食店営業許可を取る
- 1号許可なら申請して許可を待つ。深夜酒類なら営業を始める日の10日前までに届け出る
- 料金・給料・締めの決まりを決め、メニューと店内の料金表示を用意する
- キャストの年齢・国籍を確かめ、従業者名簿を作る
どこからが接待にあたるか、営業できる地域、店の作りの細かい基準は、都道府県の条例と店の作りで変わります。届出の前に、管轄の警察署か行政書士に確かめてください。法律の本文はe-Govの風営法のページで読めます。
開業前に決めておくお金の決まりは?
料金とキャストの給料の決め方は、開業してから変えると、お客様にもキャストにも説明が必要になり混乱します。開く前に次の4つを決めておきます。
- 料金:セットの時間と料金、延長、指名料、TAX・サービス料。1号許可の店は料金を店内の見やすい所に表示する決まりがある
- 給料:時給、バック、ポイント制やスライド時給にするか。くわしくはポイント制・スライド時給の作り方
- 締め:つり銭の額、日払いの渡し方、日報に書くこと。くわしくはレジ締めと日報
- 源泉徴収:業務委託のキャストに払う報酬の源泉徴収。くわしくはホステス報酬の源泉徴収
代理店として開業を手伝う時は、届出の種類と営業の形が合っているかを最初に確かめ、そのうえで料金表と給料の決まりを一緒に作ると、開業後の手戻りが少なくなります。言葉の意味は用語集にまとめています。
よくある質問
ガールズバーで隣に座ってもいいですか?
隣に座って続けて話すことは接待にあたるとされることが多く、深夜酒類の届出だけでは無許可営業になるおそれがあります。管轄の警察署に確かめてください。
1号許可と深夜酒類の届出を両方取れますか?
同じ店で、接待をしながら深夜0時以降も営業することはできません。どちらの形で営業するかを決めて、合う手続きをします。
深夜酒類の届出はいつまでに出しますか?
営業を始める日の10日前までに、店の場所を管轄する警察署を通して公安委員会に出します。届け出ずに深夜にお酒を出すと、罰則があります。
コンカフェにも届出は必要ですか?
深夜0時以降にお酒を出すなら深夜酒類の届出、キャストが席に付いて接待をするなら1号許可が必要です。どちらの場合も保健所の飲食店営業許可がいります。
キャストの年齢確認はどうしますか?
客に接する仕事をする人の生年月日と国籍を、住民票の写しなど決められた書類で確かめ、記録を残します。確認の記録と書類の写しは従業者名簿と一緒に保存します。