ホステス報酬の源泉徴収は「(報酬 − 5,000円 × 計算期間の日数)× 10.21%」で計算し、1円未満は切り捨てます。日数は出勤日数ではなく、計算期間の初日から末日までの全部の日数です。31日の月に75万円を払うなら、差し引く額は60,749円です(2026年11月時点)。記事の中の計算ツールに数字を入れると、日払いを引いた月末に払う額まで出ます。
目次
キャバクラ・クラブ・ラウンジなど水商売のお店がキャスト(ホステス)に報酬を払う時は、業務委託であっても、お店が所得税と復興特別所得税を差し引いて税務署に納めます。これをホステス報酬の源泉徴収といいます。
計算式は「(報酬 − 5,000円 × 計算期間の日数)× 10.21%」です。この記事では、日数の数え方、日払いがある時の扱い、計算例、納める期限、よくある間違いを、2026年11月時点の国税庁の案内に沿って説明します。
ホステス報酬の源泉徴収はどう計算する?
報酬の額から「5,000円 × 計算期間の日数」を引き、残りに10.21%をかけます。求めた額に1円未満の端数があれば切り捨てます。
源泉徴収の額 =(報酬の額 − 5,000円 × 計算期間の日数)× 10.21%。日数は出勤日数ではなく、計算期間の初日から末日までの全部の日数です。
同じ月に、同じ人へ給与(雇用契約の給料)も払っている場合は、報酬から5,000円 × 日数に加えて、その給与の額も差し引いてから10.21%をかけます。
「計算期間の日数」は出勤日数?
いいえ。計算期間の日数は、報酬を計算する期間の初日から末日までの全部の日数で、営業日数や出勤日数ではありません。月ごとに計算して払うなら、その月の日数(28〜31日)を使います。
出勤日数で数えると控除が小さくなり、差し引く額が多くなりすぎます。キャストの手取りが減るので、給料日に気づかれてトラブルになりやすい間違いです。
| 日数の数え方 | 控除 | 差し引く額 |
|---|---|---|
| 計算期間の全部の日数(30日) | 150,000円 | 25,525円 |
| 出勤日数(15日)で数えた場合 | 75,000円 | 33,182円 |
源泉徴収の計算例
| 月の日数・報酬 | 計算 | 差し引く額 |
|---|---|---|
| 31日の月に750,000円 | (750,000円 − 155,000円)× 10.21% | 60,749円 |
| 30日の月に400,000円 | (400,000円 − 150,000円)× 10.21% | 25,525円 |
| 28日の月に300,000円 | (300,000円 − 140,000円)× 10.21% | 16,336円 |
| 30日の月に120,000円 | 控除の150,000円より少ない | 0円 |
報酬が「5,000円 × 日数」より少ない月は、源泉徴収はありません。週に1〜2日だけ出勤する子は、この形になることがよくあります。
日払いがある時の源泉徴収はどうする?
日払いを「月の報酬の前払い」として渡しているなら、源泉徴収は月の報酬全体で1回計算し、日払いで渡した分は月末に払う額から引きます。日ごとに源泉を計算する必要はありません。
- 月の報酬(時給+バック)
- 400,000円
- 源泉徴収 (400,000円 − 150,000円)× 10.21%
- −25,525円
- 月の途中で渡した日払い
- −100,000円
- 月末に払う額
- 274,475円
数字は説明のための例です。
源泉徴収と日払いの計算ツール
月の報酬・その月の日数・渡した日払いを入れると、源泉徴収と月末に払う額が出ます。入れた数字はどこにも送られません。
- 控除(5,000円 × 30日)
- 150,000円
- 源泉徴収
- − 25,525円
- 日払い
- − 0円
- 締めの日に払う額
- 374,475円
業務委託のホステス報酬を、計算期間(月ごと・半月ごと・その日ごと)にまとめて払う時の式です(2026年11月時点)。日払いは月の報酬の前払いとして扱っています。雇用のキャスト・内勤の給料は計算が違います。
一方で、その日の報酬をその日に決めて払い切る形(月でまとめない)なら、計算期間は1日になると考えられます。1日2万円なら(20,000円 − 5,000円)× 10.21% = 1,531円です。月払いと日ごとの払い切りのどちらに当たるかで源泉の額が変わるので、お店の決まりをはっきりさせ、迷う時は税理士に確かめます。
源泉徴収したお金はいつまでに納める?
差し引いた税金は、原則として報酬を払った月の翌月10日までに税務署へ納めます。10日が土日・祝日の時は、その次の平日が期限です。
給与を払う人が常に10人未満の事業者が半年ごとにまとめて納められる「納期の特例」は、国税庁の案内では給与・退職金と税理士・弁護士などの一定の報酬に限られており、ホステス報酬は挙げられていません。ホステス報酬の源泉は毎月納める前提で準備しておきます(2026年11月時点)。
ホステス報酬の源泉徴収でよくある間違い
- 出勤日数で控除を計算してしまう(差し引きすぎになる)
- 日払いを月の前払いにしているのに、日払いのたびに源泉を計算してしまう
- 同じ会社の別の店でも働く人の控除を、店ごとに2回引いてしまう
- 報奨金・衣装代・深夜の帰りのタクシー代などを、報酬に入れずに計算してしまう(国税庁の案内では源泉徴収の対象です)
- 業務委託だからと源泉徴収をしない
同じ会社が何店舗か持っていて、1人のキャストが2店に出ている場合は、支払う会社が同じなら報酬を合わせて1回だけ控除する形にします。店ごとに別々に5,000円 × 日数を引くと、控除が2回になり、差し引く額が少なくなりすぎます。
10.21%の内訳と、2027年からの変更
10.21%は、所得税10%と、その2.1%にあたる復興特別所得税0.21%を足した率です。
国税庁のQ&Aによると、2027年(令和9年)1月1日以後に生じる所得からは、復興特別所得税が1.1%に下がり、新しく防衛特別所得税1%が加わります。合わせた率は2.1%のまま変わらないため、ホステス報酬の源泉徴収も合計10.21%で計算する形は同じです。
雇用契約のキャスト・内勤の給与は計算が違う
このページの式は、業務委託で働くホステス等への報酬のものです。雇用契約で働く人の給料は、国税庁の「給与所得の源泉徴収税額表」(月額表の甲欄・乙欄)で計算します。
黒服・内勤のように月給で雇っている人は、扶養控除等申告書を出しているかどうかで甲欄・乙欄が変わります。キャストと内勤で計算の決まりが違うので、給与の一覧で人ごとに区分を分けておきます。
キャストから源泉徴収について聞かれた時は?
キャストから多い質問は「なぜ引かれているのか」「引かれたお金は戻るのか」の2つです。お店は、ホステス報酬は業務委託でもお店が源泉徴収する決まりであることと、計算の式と日数を説明できるようにしておきます。
引かれた税金は、キャスト本人が確定申告をすることで、1年の所得に対する税額との差が精算されます。精算のためには、1年分の報酬の額と源泉徴収の額が分かる書類が要るので、お店は月ごとの明細を本人がいつでも見られるようにしておきます。
源泉徴収を引き忘れた・納め忘れた時は?
源泉徴収を引き忘れた場合でも、納める義務はお店にあります。納めるのが期限より遅れると、延滞税や不納付加算税がかかることがあります。気づいた時点で、どの月の誰の分かをまとめ、税理士か税務署に相談します。
引き忘れが起きやすいのは、新しく入った子の最初の月と、掛け持ちの子です。給与の一覧で、源泉徴収が0円の人が「報酬が控除より少ないから0円」なのか「計算から漏れている」のかを、月末に1人ずつ確かめます。
経営者・内勤が月末に確かめること
- その月の報酬の合計(時給+バック+手当・報奨金)が人ごとに出ているか確かめる
- 控除の日数がその月の日数になっているか確かめる(出勤日数になっていないか)
- 掛け持ちの人は、同じ会社の店の報酬を合わせて1回だけ控除しているか確かめる
- 日払いで渡した分を、源泉を引いた後の額から引いているか確かめる
- 源泉徴収の合計を出し、翌月10日までに納める
くわしくは国税庁のタックスアンサー No.2807 ホステス等の報酬・料金に対する源泉徴収をご覧ください。個別の判断は税理士に確かめてください。
よくある質問
キャストが業務委託なら、お店は源泉徴収しなくていいですか?
いいえ。ホステス等の報酬は、業務委託でもお店が源泉徴収して納める決まりです。
5,000円 × 日数の「日数」は出勤日数ですか?
いいえ。計算期間の初日から末日までの全部の日数です。月ごとに計算するなら、その月の日数(28〜31日)を使います。
日払いのたびに源泉徴収が必要ですか?
日払いを月の報酬の前払いとして渡しているなら、源泉徴収は月の報酬全体で1回計算します。その日の報酬をその日に払い切る形なら計算期間は1日になると考えられるので、決まりを税理士と確かめてください。
10.21%の0.21%は何ですか?
復興特別所得税です。所得税10%に、その2.1%を足して10.21%になります。2027年からは内訳が復興特別所得税1.1%と防衛特別所得税1%に変わりますが、合計は同じです。
源泉徴収したお金はいつまでに納めますか?
原則として、報酬を払った月の翌月10日までに税務署へ納めます。半年ごとの納期の特例は、国税庁の案内ではホステス報酬が対象に挙げられていません。