キャバクラ・ラウンジの売掛(ツケ)は、ツケにした時と払ってもらった時の両方を、お客様ごと・伝票ごとに記録するのが基本です。現金の売上と分けて数え、誰に・いくら・何日前からを一覧ですぐ出せるようにしておくと、回収漏れとレジ締めのずれを防げます。
目次
売掛(ツケ)は、お客様がその日に払わず、後日まとめて払う約束で会計を済ませることです。お店の売上にはなりますが、お金はまだ入っていません。
売掛の管理で大事なのは、ツケにした時と払ってもらった時の両方を、お客様ごと・伝票ごとに残すことです。この記事では、売掛で起きるトラブルと、記録しておく項目、レジ締めでの数え方、回収の決まりの作り方を説明します。
売掛(ツケ)で起きやすいトラブルは?
売掛のトラブルの多くは、記録が無い・記録が人の頭の中にしか無いことから起きます。
- 誰にいくら貸しているかが分からなくなる
- 払ってもらったのに記録が無く、もう一度請求してしまう
- ツケの現金回収をそのままレジに入れて、レジ締めが合わなくなる
- 担当のキャストや店長が辞めて、誰が受けたツケか分からなくなる
- 何か月も払われないまま、気づいた時には連絡が取れない
- 回収できないツケを、キャストの給料から引いてしまい問題になる
売掛の管理で記録しておく項目
最低でも次の6つを、ツケにした伝票ごとに残します。
| 項目 | なぜ要るか |
|---|---|
| お客様の名前 | 誰に請求するかを決める |
| ツケにした日と伝票の番号 | 何の会計のツケかをあとで確かめる |
| ツケにした金額 | 請求する額のもと |
| 担当のキャスト・受けた人 | 連絡と回収の担当を決める |
| 払ってもらった日・額・払い方 | 二重請求を防ぎ、現金かカードかを分ける |
| 残りの額 | 一部だけ払ってもらった時に、あといくらかを出す |
名前の書き方がばらばらだと、同じお客様のツケが別の人として並びます。「山田様」「山田さん」「ヤマダ」のような揺れが出ないよう、お客様の名簿から選ぶ形にしておくと確かです。
売掛はレジ締めと日報でどう数える?
レジ締めでは、ツケにした分は現金に入れず、ツケを回収した現金は回収した日の現金に入れます。売上の日とお金が入る日が違うことを、締めの式に入れておきます。
- 開店時の手元の現金(釣り銭)
- 50,000円
- 現金の売上
- 180,000円
- ツケの回収(現金)
- 40,000円
- 出金(買い出し・日払い)
- −30,000円
- あるはずの現金
- 240,000円
この日にツケにした60,000円は売上には入りますが、現金には入りません。数字は説明のための例です。
日報では、売上を「現金」「カード・QR」「ツケ」に分けて書き、別に「ツケの回収」を書きます。ツケを売上と回収の両方で数えると、売上が二重になります。
ツケを受ける前に確かめること
- お客様の名前と連絡先が、お店の名簿に入っているか
- そのお客様のツケが、今いくら残っているか
- ツケを受ける人(店長・責任者)が了解しているか
- いつまでに払ってもらうかを、お客様に伝えたか
その場の会計で、カードやQRで払ってもらえないかを先に聞くのも、ツケを増やさない方法です。現金の持ち合わせが無いだけのお客様は、ツケでなくカード払いで済むことがあります。
ツケをカードやQRで回収した時は、現金には入れず、その日のカード・QRの入金として数えます。回収の払い方を記録しておかないと、現金の差額とカードの入金の両方がずれます。
ツケの記録は、元の伝票と結びつけておくと、お客様から「何の分か」と聞かれた時に、その日の注文の中身まで見せられます。
回収漏れを防ぐ決まりの作り方
ツケを受けてよい人と、いつまでに払ってもらうかを先に決めておくと、ツケが増えすぎるのを防げます。
- 受けてよい人:店長・責任者だけ、または決まったお客様だけにする
- 上限:1人あたりのツケの残りの上限を決める
- 期限:いつまでに払ってもらうかを、ツケにした時にお客様へ伝える
- 見直す日:週に1回、残っているツケを古い順に見る日を決める
- 長く残った時:何日たったら誰が連絡するかを決めておく
- ツケにする時:伝票ごとに、お客様の名前・金額・担当を記録する
- 毎週:残っているツケを古い順に並べ、期限を過ぎたものに連絡する
- 払ってもらった時:その日の日付で、額と払い方(現金・カード・QR)を記録する
- 一部だけの時:払ってもらった額を記録し、残りの額を出しておく
- 月末:ツケの残りの合計を出し、前の月と比べて増えていないか確かめる
売掛のトラブル例と防ぎ方
例1:ツケの回収をレジに入れて、締めが合わなくなった
お客様が前の月のツケを現金で払いに来たのに、記録をせずにレジへ入れたため、その日の現金が多くなったケースです。回収したお金は、必ず「ツケの回収」として記録してからレジに入れます。
例2:担当の店長が辞めて、ツケの相手が分からなくなった
ツケの記録が辞めた店長のノートにしか無く、誰にいくら残っているか分からなくなったケースです。ツケの記録は人ではなくお店の記録に残し、誰が見ても同じ一覧が出るようにします。
例3:一部だけ払ってもらった残りを請求し忘れた
10万円のツケのうち5万円だけ払ってもらい、残りの5万円が記録から消えていたケースです。一部の回収の時は、払ってもらった額と残りの額を両方残します。
どの例も、ツケにした時・回収した時に、その場でお店の記録に残していれば起きません。後でまとめて書く運用にしないことが、いちばんの防ぎ方です。
売掛の残りは月末に税理士へ伝える
月末に回収できていないツケの合計は、お店の帳簿でまだ入っていない売上として扱います。月ごとの売上の資料と一緒に、ツケの残りの一覧を税理士に渡しておくと、決算の時に慌てません。
長く残ったツケを回収する手順
- 残っているツケを、ツケにした日の古い順に並べる
- 30日を過ぎたものから、担当と店長で誰が連絡するかを決める
- お客様に、伝票の日付と金額、残りの額をはっきり伝える
- 払う約束の日を聞き、その日を記録しておく
- 約束の日を過ぎても払われない時は、それ以上自分たちで取り立てず、弁護士など専門家に相談する
回収のために強い言葉で何度も連絡したり、お客様の職場に押しかけたりすると、お店の側が問題になることがあります。連絡のしかたは落ち着いた方法に限ります。
紙のノートから記録を移す時
今まで紙のノートやスプレッドシートでツケを管理していたお店は、新しい仕組みに移す時に、残っているツケを1件ずつ全部移します。移したら、ノートの合計と新しい一覧の合計が同じかを確かめ、それ以降はノートに書かないようにします。
ツケをキャストの給料から引いてもいい?
回収できないツケをキャストの給料から引く決まりは、トラブルになりやすいところです。雇用契約で働く人の給料は、労働基準法第24条により全額を払うのが原則で、引けるのは法令に定めがある場合か、働く人の代表との書面の協定がある場合に限られます(2026年11月時点)。
業務委託のキャストでも、本人がはっきり同意していないツケを報酬から引くとトラブルになります。ツケの回収をキャストに負わせる決まりを作る時は、弁護士など専門家に確かめてください。
経営者・内勤・代理店が見るべき所
- 経営者:ツケの残りの合計と、30日以上たっているツケの額。売上が良くても、お金が入っていなければ資金繰りは苦しくなります
- 内勤・黒服:その日のツケと回収が、レジ締めの式に正しく入っているか。回収した現金を売上と混ぜていないか
- 代理店:お店が紙のノートでツケを管理しているなら、残っているツケを最初に全部移せるか。移し漏れは、そのまま回収漏れになります
レジ締めのずれの原因はレジ締めと日報の記事、言葉の意味は用語集の売掛(ツケ)で説明しています。
UNIGHTでは、会計の支払方法で「ツケ」を選ぶと、お客様ごとの残りと一番古いツケから何日たったかがWebの売掛の一覧に並び、回収もその画面から現金・カード・QRで記録できます。ツケにした分は現金に入れず、ツケの現金回収はレジ締めのあるはずの現金に入ります。

よくある質問
ツケにした売上は、いつの売上になりますか?
会計をした日の売上になります。お金が入るのは回収した日なので、レジ締めではツケにした分を現金に入れず、回収した日に現金として数えます。
ツケの回収を売上にも入れていいですか?
いいえ。ツケはツケにした日に売上として数えているので、回収を売上にも入れると二重になります。日報では「ツケの回収」として売上とは別に書きます。
一部だけ払ってもらった時はどうしますか?
払ってもらった日・額・払い方を記録し、残りの額を出しておきます。残りが分からなくなると、二重請求や回収漏れのもとになります。
回収できないツケをキャストの給料から引いてもいいですか?
トラブルになりやすいところです。雇用契約の人の給料は労働基準法で全額払いが原則とされているので、決まりを作る前に弁護士など専門家に確かめてください。